• 日本におけるワインの消費量はこの20年で2.5倍、年間5億本を突破しました。
  • また、ソムリエ保有者数もわずか10年で2倍の5万人、世界一になりました。ただ、フランスやイタリアの国家資格とは異なり日本のソムリエは民間の呼称資格のため、比較はあまり意味がないかも知れません。

ワイン消費量とソムリエの増加は日本でのワイン文化の拡大に非常によい傾向ですが、いくつかの懸念もあります。

気になる点:

  • 日本のワイン消費は急速に増加していますが、伸びているのはチリ、アルゼンチン、南アフリカ、ポルトガル等の比較的安価なワインであり、フランス、イタリア、ナパ、ドイツなどの比較的ハイグレードなワインは継続的に減少しています。そしてチリワインは量だけでなく、売上高でもついにフランスワインを超えました。料理とワインのマッチングは重要ですが、近年フランス料理やイタリア料理にチリワインの組み合わせも増え、ボルドーやバローロもポジションが失われているようでとても残念です。このままではソムリエさんの活躍の場所も懸念されます。
  • 日本における国民一人当たりのワインの消費量はポルトガル、フランス、イタリア、スイスなどの1/10の年間4本程度で世界22番目前後です。
  • 料理と一緒に楽しみたいワインや日本酒ですが、日本酒はメニューに銘柄が記載されている事も多く、料理を意識して銘柄でご注文される方も多いと思います。そしてビールでも、焼酎でも、洋酒でも、ほとんどすべて銘柄指定で注文しますが、ワインに関してだけはなぜか?ハウスワインというオーダーが多いように感じます。カップ酒で大トロも合うかもしれませんが、できれば料理との釣り合いも大事に思えます。
  • 消費者のワインIQの向上に伴い、力の入った食事には力の入ったワイン、現地食材にはその現地ワインなど、食とワインのマッチング意識が向上すればもっとワインと食事も楽しめ、おそらくハイグレードワインの消費も増え、ワイナリーさん、ソムリエさん、輸入企業さん、販売店さん、飲食店さんも含め、ワインを取り巻く環境はもっと楽しくなりそうです。

今後の期待:

  • フランスやその他先進国のワイン関税撤廃による先進国の競争力アップ
  • ワインIQのさらなる向上に伴うハイグレードワインの消費増加
  • 開栓後の劣化を抑制できる器具や装置の出現により、ハイグレードワインの消費増加
  • フランス、イタリア、ドイツワインの消費量復活