【はじめに】

 

生物が生きるためには酸素は必要不可欠ですが、飲食品や工業品(鉄などの金属品・化学品・ゴム品など)、そして人の体を劣化・腐敗や老化させます。人の皮膚や内臓の細胞は酸化等により細胞破壊が生じ、水分が放出され、新しい水分を取り込めなくなり老化します(肉や魚のドリップと同じように)。
酸化や細菌による飲食品や工業品の劣化や腐敗のスピードは酸素量・温度・湿度・光などの環境に大きく影響されます。

 

【臓器移植には新鮮な臓器が必要】
移植用に摘出した臓器は、凍結できないため、移植が必要な場合、短い時間内で
”ドナー探し⇒適合検査⇒ドナーから摘出⇒輸送⇒レシピアントに移植”を完了しなければなりません。
摘出した臓器の活性酸素による劣化を遅らせることができれば、輸送やオペ時間が延長でき、ドナー探しの地域拡大や臓器移植の成功率も大幅に改善できると考えています。

バルクレップインターナショナルでは酸化細菌繁殖を抑制し、生体のロングライフ化を実現する保存・輸送ケースの開発を進めており、その開発過程で生まれた製品群がルンゴシリーズです。

”ルンゴ”とは”長い”の意味のイタリア語で、高純度の不活性ガスで、対象物(飲食品・工業品・臓器など)を変質させる空気中の気体を置換することにより、対象物を劣化から守り、長期間新鮮に保つ装置やその消耗品の総称です。

 

【空気中の主な気体の特徴】

飲食品や工業品(化学品・ゴム品・金属品など)は空気成分の溶け込みにより、変質が生じます。
酸素の溶け込みにより酸化し、その他の空気成分の溶け込みにより香りや色が変化します。

  • 空気中の主な気体の固体や液体への溶けやすさは順に CO2 (二酸化炭素) > Ar (アルゴン) > O2 (酸素) > N2 (窒素)ですが、人の住む海抜レベルの室内やワインボトル内で空気中の各気体が重力によって層をなすことは考えられませんが、もしそのようなことが起これば、私たちは密閉性の高い部屋では窒素しか吸えないかもしれません。また、もしボトル内で 各気体が層をなすなら、ボトル内のワインにまず一番重い二酸化炭素がすぐに溶け込み、次にアルゴン、そして酸素と順番に溶け込み、変質(風味変化・酸化・変色)が生じます。
  • 開栓したワインの酸化や風味や色の変化を防ぐためにはワインに溶けにくい窒素ガスで他の溶けやすい気体(二酸化炭素・アルゴン・酸素)を置換するか、または限りなく真空に近い状態にすることが必要です。しかしながら、完全な真空状態を作ることは困難で、真空装置の能力にもよりますが、硬質の容器(ボトルやコンテナ)では20-50%の空気が残りますので、注意が必要です。
  • N2 (窒素ガス)は主な空気中成分で最も軽く、固体や液体に最も溶けにくいため、空気を置換して対象物を保存することにより、対象物への他の気体(二酸化炭素・アルゴン・酸素)の溶け込みを防ぎ、変質(酸化・変色・風味変化(食品)・硬化(工業品))やカビ・錆びから守ります。
  • CO2(二酸化炭素/炭酸ガス)は空気中成分で最も重く、そして固体や液体に最も溶けやすく、空気を置換して対象物を保存することにより酸化は防ぎますが、短時間で対象物に溶け込み酸味・苦み・発泡性を増します。この特徴を活用し生ビールや炭酸飲料が製造されています。二酸化炭素は他の気体にない特徴があります。①カビを含む好気性菌や真空では防げない嫌気性菌(多くの食中毒菌は嫌気性菌)を含む細菌全般を抑制・死滅、②昆虫や害虫を抑制・死滅させるため閉されて密閉されていない食品(米、コーヒーメーカー、自動販売機内の飲食品)を酸化や害虫から守ることに使用されます。また③野菜や果物のエチレンガス腐敗を抑制するため、バナナやリンゴ、緑黄野菜の保存にも使用されます。

 

【空気中の気体(窒素・二酸化炭素)のワインへの溶け込み試験】

空気中の主な気体は固体や液体へ溶け込みます。
その結果、飲食品では風味変化、酸化、変色、カビなどが生じ、工業品では酸化、硬化、カビ、錆びなどが生じます。溶けやすい順(重い順)に、二酸化炭素(CO2)>アルゴン(Ar)>酸素(O2)>窒素(N2)です。

  • CO2(二酸化炭素)を注入した白ワインのプラスチックボトルは、わずか1時間でボトルが変形し、5時間後にはボトルは密着し、空間部分はほとんどなくなったことから、注入したCO2はワインに溶け込んだと考えられます。
  • N2(窒素)を注入した赤ワインのプラスチックボトルは、5時間後もボトルはまったく変形しなかったことから、N2のワインへの溶け込みはほとんどないと考えられます。
  • この結果により、開栓したワインをわずか1時間でも放置すると、空気中の溶けやすい気体がワインに溶け込み、変質(風味変化・変色・酸化・発泡性増加など)する可能性があります。
  • 開栓したワインを1時間以上保存する時は、溶けにくい窒素ガスで溶けやすい気体(二酸化炭素、アルゴン、酸素など)を置換するか、または可能な限り空気を抜く事をお勧めします。ただし、硬質な容器では真空を作ることは困難で、吸引装置の能力にもよりますが、20~50%の空気が残ると考えられますので注意が必要です。

 

【食品劣化の参考例】

 

 

【ガス置換包装・保存の力】

前述の気体の特徴を活用し、飲食品や工業品(化学品・ゴム品・金属品など)は窒素ガスで空気を置換して包装また保存する事により、酸化、変色、硬化、カビや錆びなどを防ぐことができます(ガス置換包装・保存)。

代表的な例として開栓して空気に触れると1~3日で酸化するワインは製造時に窒素ガス置換や混合ガス置換により何十年も美味しく保たれています。

先進食品会社では製造した様々な飲食品を酸化やカビを含む細菌から守り、長期間新鮮な状態で流通させるため、目的に応じた不活性ガスで空気を置換して包装するガス置換包装が導入されています。近年ではコンビニエンスストアのお惣菜など調理品の包装や保存にも使用されています。

しかしながら、折角ガス置換された飲食品も一度開封すると残りは空気保存になり、酸化や細菌により急速に劣化します。

抗酸化システム ルンゴプロシリーズは卓上でお手軽に製造品/調理品のガス置換包装や開封・開封した飲食品の再ガス置換を実現しました。

飲食品の容器内に0.5秒噴射するだけで、風味を維持しながら、酸化・変色・細菌の繁殖を抑制し、飲食品を長期間新鮮に保ちます。