窒素・二酸化炭素・アルゴンによるガス置換包装・保存の効果を最大化するため/ 開栓したワイン・開封した焙煎コーヒ-豆・食材・加工品・調理品・工業品など

ガス置換包装・保存は飲食品や工業品のロングライフ化のため幅広く使用されています。

例えばワインは製造時に窒素ガス置換をすることで何十年も美味しさが保たれています。焙煎コーヒ-豆やポテトチップスも製造時に窒素ガス置換することで油分の酸化を遅延させ、長期間美味しさを保ちます。

しかしながら、開栓・開封して空気と接触すると、3日程度で風味や色が変化します。
再ガス置換を行えば、劣化を延命(48-90日)することが可能です。

空気中の気体は窒素78.1%、酸素20.9%、アルゴン0.9%、二酸化炭素が0.04%です。それぞれに特徴があります。
ガス置換包装・保存に使用される窒素、酸素、アルゴンは空気から抽出、精製して製造されています。そのため純度100%のガスは存在しません。
二酸化炭素は空気中の量が少ないため、化学反応で製造されています。

 

ガス置換包装・保存の効果を最大化するための重要要素

  1. 用途に合ったガスを選択
  2. 高純度(4N以上)の不活性ガスで空気を置換
  3. できる限り空気を残さず置換
  4. 気体や水分を遮断できる容器で保存
  5. 遮光・低温・静置で保存
  6. カイロ系原材料の脱酸素剤の使用は注意が必要

 

(1)用途に合ったガスを使用

アルゴンや二酸化炭素は対象物に溶け込み、酸素を吸収するため、酸化抑制効果は非常に高い。

窒素ガスは対象物に溶け込みにくいため、オリジナルの風味や色合いを保つことができます。

 

(2)高純度(4N以上)の不活性ガスで空気を置換

再ガス置換において空気を100%置換することは困難ですが、純度の高いガス(4N以上)で空気を置換することである程度は補填できます。

しかしながら純度が少しでも上がるとガスの単価は跳ね上がります。

(3)できる限り空気を残さず置換

空気中の各気体分子は活発に動き回っており、また地球の自転の影響もあり、各気体は人の住む海抜レベルでは各重さによって層をなさず、空気として存在します。

もし、容器内で各気体が重さで層をなすと仮定した場合、一番重い二酸化炭素が目的物に溶け込み、その後、アルゴン、酸素が溶け、性質を変えてしまいます。また、場所によって私たちは酸素を吸引できず窒息してしまいます。

そのため、ガス置換包装・保存では、気体が混ざり合った空気をできるかぎり残さず置換することは重要ですが、置換する量に比例して置換コストは上昇します。

 

(4)遮断性:気体や水分を遮断できる容器で保存:

 

1層構造のプラスチック系の食品保存袋やコンテナケ-スは酸素や水分を透過します。

飲食品を1週間以上の長期保存するときは、気体や水分を透過しない遮断性の高い容器(瓶、缶、内側にアルミが張られた袋など)をご使用ください。

また、PVCD(ポリ塩化ビニルデン)や2層構造の保存容器では他の保存容器と比較し気体や水分の透過は少なく抑えられます。

 

 

 

(5)遮光・低温・静置: 光を避け低温で振動の少ない場所で保存 

遮光、2~8℃、静置で保存することにより酸化を遅らせ、細菌の繁殖もある程度抑えることができます。

(6)カイロ系原材料の脱酸素剤の使用は注意が必要。

多くの脱酸素剤の成分は鉄、活性炭、食塩、水分を含むゼオライトやバーミキュライトなど、発熱カイロと同じです
空気中の酸素と鉄の化学反応(酸化)により酸素を消費し、同梱した対象物(食品や工業品など)の酸化を防ぎます。しかしながら、鉄は酸素に触れると発熱(カイロの発熱原理)し、急激な温度変化が生じます。
カイロでは5~14時間で鉄の酸化が飽和し、発熱は止まりますが、それ以上の酸素は吸収できなくなります。カイロの場合は発熱の終了を感知することができますが、食品保存では酸素の吸収の判断はできないため、注意が必要です。
活性炭は酸素を誘導する役割ですが、香気も吸収します。

上記のカイロ系脱酸素剤は熱を嫌う食品や工業品、また風味を維持したい食品などでの使用には注意が必要です。
また各脱酸素剤の能力・サイズ、保存する容量、そして開封時間や使用期間にも考慮が必要と思われます。

ガス置換包装との併用はお勧めできません。

 

 

 


弊社調査による参考資料:

窒素ガスやアルゴンガスの一般的価格

 

 

缶タイプはキャップを押すだけでそのまま使用できますが、ルンゴN2やルンゴCO2は高圧ガスのため、使用するためには別途、

減圧してガスを出力するレギュレ-タ-が必要です。

 


 

【ワイナリ-のボトリングや日本の食品会社での食品包装に高純度の窒素ガスや炭酸ガスが充填されている理由】

  • 世界中のワイナリーのボトリングや日本の食品包装では古くから窒素ガスが使用されています。理由は窒素ガスは空気中の気体の中で最も比重が低く(軽い)、固体や液体に溶けにくいため、ワインや食品への空気中の溶けやすい気体(二酸化炭素、アルゴン、酸素)の溶け込みによる風味変化や変色の防止酸化防止の目的で使用されています。
  • また窒素ガスは油の酸化を防ぐ効果が高いため、ポテトチップスや調理済み食品の酸化防止に適しており、オリ-ブオイルの包装や、油分の多い食品の包装に使用されています。
  • 二酸化炭素は固体や液体に溶けやすく、風味や色を変えてしまいますが、酸化防止効果は高く、安価に酸化防止ができること、また細菌や害虫から守るため、食品では窒素ガスと混合して使用されています。
  • アルゴンガスは固体や液体に溶けやすく、酸素を吸収します。風味や色も少しずつ変えてしまいますが、酸化防止効果は非常に高く、米国では古くから窒素ではなく酸化防止の目的で食品包装に使用されています。

 

 【ルンゴプロ抗酸化ガス】

食品用ルンゴプロのMENUに