【主な空気成分の特徴】
【飲食品の酸化防止方法の原理比較】
バキューム:
食品袋でのバキュームとは異なり、ボトルや食品容器内で真空を作ることは不可能です。ある程度の空気が残るため、ほんの少量の酸素でも酸化は進むため、あまり高い酸化抑制効果は期待できないと思われます。しかしながら、飲料に溶けて風味を変質させる空気成分(二酸化炭素・アルゴン・酸素)の絶対量が減るため、風味への影響は少ないと思われますので、風味が重要な飲料の短期の保存に向いていると思われます。
不活性ガス充填スプレー:
ルンゴN2 / ルンゴCO2:ルンゴガスの特徴ページをご参照ください。
ガス置換用ミックススプレー (75%窒素・25%二酸化炭素):
ボトル内の残された空気量に合わせてガスの充填量を調整できるため、カーボンキャップとは異なり、飲料の残量に関わらず酸化抑制の効果は期待できると考えられます。ただし、酸化は抑制できますが、二酸化炭素の溶け込みによる風味への影響は回避できないため、早めに消費されることをお勧めします。
ガス置換用アルゴンガススプレー:
米国ではアルゴンガスを菓子や食品の保存に古くから使用されており、空気中成分(二酸化炭素、酸素、窒素)を置換する事で酸化を抑制します。米国では比較的安価なガスです。
アルゴンガスは二酸化炭素の次に固体や液体に溶けやすく、溶けると内部の酸素を吸収します。そのため、酸化抑制効果は非常に高い反面、溶けて成分構成が変化するため、風味や色への影響が懸念されます。
【考察】
日本の歴史ある食品会社は古くから日本人のデリケートな舌を満足させるため、食材や食品の風味を守ることに長年の研究を積み重ねてきました。そのため日本には消費期限だけではなく、賞味期限が存在します。
長年の研究の結果、風味を守りながらの酸化抑制には高純度窒素ガス、カビや細菌、エチレンガス腐敗の抑制には高純度の炭酸ガス、またその両方のバランスと取りたい場合はコンビニエンスストアのお惣菜のように高純度窒素50% vs 高純度炭酸ガス50%で包装されるようになりました。
日本のポテトチップスのさらっと感は油の酸化抑制効果が高い窒素ガスと水分や他の気体を完全に遮断するアルミ包装によって実現しました。(アメリカ産のポテトチップスとは大きく異なります)。
弊社でも様々な研究の結果、日本の食品会社に習い、風味を維持したい、また変色を抑えたい飲食品(熟成ワインやお酒、深煎り焙煎豆、松茸、削り節など)の保存には高純度の窒素ガス置換を、またカビ・食中毒菌、害虫から守りたい場合は高純度の炭酸ガスで空気を置換する事を推奨します。
【弊社では脱酸素剤と窒素ガス置換との併用はお勧めしません】
脱酸素剤の成分(鉄・ゼオライト・食塩・活性炭)はカイロと同じで、酸素が食品に吸収される前に鉄が酸化し酸素を消費し、食品の酸化を防ぎます。鉄の酸化時に熱を発するため、熱を嫌う食品には不向きで、また活性炭により、良くも悪くも香気を吸収するため、弊社ではコーヒー豆、茶葉、ハーブなどの風味を維持したい食品の保存には不向きと考えます。