【空気中の気体の種類】
空気中の主な気体は窒素(78.08%)、酸素(20.94%)、アルゴン(0.93%)、二酸化炭素(0.04%)です。
各ガスは食品や工業用途で使用する目的で製造されています。
一般的にアルゴン、酸素、窒素は空気より分離して製造し、二酸化炭素は空気中の量が少ないため化学反応で製造されています。

各気体はガス置換包装・保存で使用されますが、二酸化炭素やアルゴンは比重が重く、そして固体や液体に非常に溶けやすく浸透するため、酸化抑制には高い効果を発揮しますが、浸透による分子構成の変化により風味や色など性質に影響を与えます。
二酸化炭素は空気中にわずか0.04%ですが、それですら飲食品の風味や色を、塗料やゴム品を変色、そして硬化させます。
ガス置換包装・保存において、純度99.9%(3N)のガスで置換した場合、不純物が0.1%も含むため、十分な効果は期待できません。
そのためガス置換包装・保存では、
⓵ 4N以上の高純度のガスで、
② 他の気体をできる限り多く
置換する事が非常に重要です。
【アルゴン、酸素、窒素の製造法と純度】
空気をマイナス200℃近い極低温まで冷却し、各気体の沸点の差を利用して取り出す「深冷空気分離法」で製造され、「空気分離ガス」と呼ばれています。
これらの気体は空気から分離するガスのため、純度100%のガスは存在しません。
空気をマイナス200℃近い極低温まで冷却し、各気体の沸点の差を利用して取り出す「深冷空気分離法」で製造され、「空気分離ガス」と呼ばれています。
これらの気体は空気から分離するガスのため、純度100%のガスは存在しません。
各使用用途に応じて精製レベルを変えて製造します。
食品の包装や保存に窒素ガスや炭酸ガスによるガス置換包装・保存が使用されていますが、効果を得るためには不純物が極めて少ないガス(4N以上)で、既存の空気を残さないように置換する事が重要です。
【空気中の各気体は層にならず混合した状態で存在】

余談になりますが、ワインの業界で”アルゴンは重いのでボトル内の飲料表面に浮遊するため、少ない量の置換で他の気体の飲料への溶け込みを阻止して酸化を抑制できる”という事が都市伝説のように語られていますが、人が住む海抜レベルで空気中の各気体がその重さによって層をなすことはなく、各分子は混合した状態、空気として存在します。
そのため、ガス置換保存で効果を得るためには置換する気体の純度、そして置換する量が重要です。
もしガス置換しようとするワインボトルの空間が100㎖であれば、置換するガスの精製純度は100%に近く、そして100㎖のすべての空気を置換する必要があります。
もしボトル内で空気中の各成分が重さによって層をなすことを信じた場合、ボトル内では最も重い二酸化炭素がワインにすぐに溶け込み風味が変わります(酸味・苦み増加)、そしてその次に溶けやすいアルゴン、酸素が順に溶け込みます。
また食うっ気中の気体が重さによって層をなすなら、住む地域や場所によって私たちは酸素を吸えず窒息するかもしれません。

純度は、1N(90%)、2N(99%)、3N(99.9%)、4N(99.99%)、5N(99.999%)などNで表され、純度が高ければ高いほど製造コストは跳ね上がります。
【アルゴンガスや窒素ガスの純度と価格】
下記は純度が公開されている市販のガスの価格です。
ガスの種類に関わらず、純度が上がると、価格は大幅に上昇します(純度が1N上がると価格は2倍近く上昇)。
純度の記載がないガスでも、その価格からある程度純度の目安はできるかもしれません。


*ガスボンベやルンゴプロの高圧ガスを使用するためには別途ガスを減圧して出力するレギュレ-タ-(減圧ガス出力装置)が必要です。スプレ―缶の商品はそのまま使用できます。
【炭酸ガスの製造】
二酸化炭素は空気中から抽出することは莫大なコストがかかるため、最も一般的な方法は化学反応です。
炭素を含む試薬(石灰石や炭酸塩など)と酸を反応させ、炭酸ガスを発生させる方法や炭化水素に熱を加えて反応させる熱分解する方法などです。
炭酸水はご家庭でも簡単に製造できます。よく冷えた水(重要)にクエン酸を溶かし、そして重曹を加えれば完成です。
【ワイナリ-のボトリングや日本の食品会社の食品包装に高純度の窒素ガスや炭酸ガスが充填される理由】
- 世界中のワイナリーのボトリングや日本の食品包装では古くから窒素ガスが使用されています。理由は窒素ガスは空気中の気体の中で最も比重が低く(軽い)、固体や液体に溶けにくいため、ワインや食品への空気中の溶けやすい気体(二酸化炭素、アルゴン、酸素)の溶け込みによる風味変化や変色の防止と酸化防止の目的で使用されています。
- また窒素ガスは油の酸化を防ぐ効果が高いため、ポテトチップスや調理済み食品の酸化防止に適しており、オリ-ブオイルの包装や、油分の多い食品の包装に使用されています。
- 二酸化炭素は固体や液体に溶けやすく、風味や色を変えてしまいますが、酸化防止効果は高く、安価に酸化防止ができること、また細菌や害虫から守るため、食品では窒素ガスと混合して使用されています。
- アルゴンガスは固体や液体に溶けやすく、酸素を吸収します。風味や色も少しずつ変えてしまいますが、酸化防止効果は高く、米国では古くから窒素ではなく酸化防止の目的で食品包装に使用されています。
【ルンゴプロ抗酸化ガス】


