窒素・二酸化炭素・アルゴンによるガス置換包装・保存の効果を最大化するため/ (開栓したワイン・開封した焙煎コーヒ-豆・食材・加工品・調理品・工業品など)
ガス置換包装・保存は飲食品や工業品のロングライフ化のため幅広く使用されています。

例えばワインは製造時に窒素ガス置換をすることで何十年も美味しさが保たれています。焙煎コーヒ-豆やポテトチップスも製造時に窒素ガス置換することで油分の酸化を遅延させ、長期間美味しさを保ちます。

しかしながら、開栓・開封して空気と接触すると、どれも3日程度で酸化しはじめ、風味や色も変化します。
再ガス置換を行えば、劣化を延命(48-90日)することが可能です。
空気中の気体は窒素78.1%、酸素20.9%、アルゴン0.9%、二酸化炭素が0.04%です。それぞれに特徴があります。
ガス置換包装・保存に使用されるガスは製窒素、酸素、アルゴンは空気から抽出、精製して製造されています。
そのため不純物は必ず残り、純度100%のガスは存在しません。
二酸化炭素は空気中の量が少ないため、化学反応で製造されています。

用途によって使用するガスの純度は異なります。
ガスの純度は“N”で表現され、1Nは純度90%、2Nは99%、4Nは99.99%など。精製純度が少しでも上がるだけでも価格は極端に上昇します。


ガス置換包装・保存の効果を最大化するためには5つの注意が必要です。それにより、使用期限は何十倍も延長されます。(1)できる限り空気を残さない(置換量の最大化)、(2)純度の高いガス(4N以上)で置換する、(3)低温で保管・保存する、(4)気体や水分を透過しない容器を使用する、(5)脱酸素剤の使用には注意が必要。
(1)できる限り空気を残さない(置換量の最大化):
空気中の各気体分子は活発に動き回っており、また地球の自転の影響もあり、各気体は人の住む海抜レベルでは各重さによって層をなさず、混在して空気として存在します。そのため、ガス置換包装・保存では、できる限り空気を残さず置換することは重要ですが、置換する量に比例して置換コストは上昇します。
もし、容器内や場所によって各気体が重さで層をなすと仮定した場合、一番重い二酸化炭素が目的物に溶け込み、性質を変えてしまいます。また場所によって私たちは酸素を吸引できず窒息してしまいます。

(2)純度の高いガス(4N以上)で置換する:
再ガス置換において空気を100%置換することは困難ですが、純度の高いガス(4N以上)で空気を置換することである程度は補填できます。
(3)低温で保存する:
2~8℃で保存することにより酸化を遅らせ、細菌の繁殖もある程度抑えることができます。
(4)気体や水分を透過しない容器を使用する:

プラスチック系の食品保存袋やコンテナケ-スは酸素や水分を透過します。
飲食品を1週間以上の長期保存するときは、気体や水分を透過しない遮断性の高い容器(瓶、缶、内側にアルミが張られた袋など)をご使用ください。
PVCD(ポリ塩化ビニルデン)を使用した保存袋では他の保存容器と比較し気体や水分の透過は少なく抑えられます。
(5)カイロ系脱酸素剤の使用は注意が必要:

多くの脱酸素剤の成分は鉄、活性炭、食塩、水分を含むゼオライトやバーミキュライトなど、発熱カイロと同じです。
・空気中の酸素と鉄の化学反応(酸化)により酸素を消費し、同梱した対象物(食品や工業品など)の酸化を防ぎます。
・しかしながら、鉄は酸素に触れると発熱(カイロの発熱原理)し、急激な温度変化が生じます。
・カイロでは5~14時間で鉄の酸化が飽和し、発熱は止まりますが、それ以上の酸素は吸収できなくなります。カイロの場合は発熱の終了を感知することができますが、食品保存では酸素の吸収の判断はできないため、注意が必要です。
・活性炭は酸素を誘導する役割ですが、香気も吸収します。
上記のカイロ系脱酸素剤は熱を嫌う食品や工業品、また風味を維持したい食品などでの使用には注意が必要です。また各脱酸素剤の能力・サイズ、保存する容量、そして開封時間や使用期間にも考慮が必要と思われます。
弊社調査による参考資料:
窒素ガスやアルゴンガスの一般的価格



缶タイプはキャップを押すだけでそのまま使用できますが、ルンゴN2やルンゴCO2は高圧ガスのため、使用するためには別途、
減圧してガスを出力するレギュレ-タ-が必要です。
【ワイナリ-のボトリングや日本の食品会社での食品包装に高純度の窒素ガスや炭酸ガスが充填されている理由】
- 世界中のワイナリーのボトリングや日本の食品包装では古くから窒素ガスが使用されています。理由は窒素ガスは空気中の気体の中で最も比重が低く(軽い)、固体や液体に溶けにくいため、ワインや食品への空気中の溶けやすい気体(二酸化炭素、アルゴン、酸素)の溶け込みによる風味変化や変色の防止と酸化防止の目的で使用されています。
- また窒素ガスは油の酸化を防ぐ効果が高いため、ポテトチップスや調理済み食品の酸化防止に適しており、オリ-ブオイルの包装や、油分の多い食品の包装に使用されています。
- 二酸化炭素は固体や液体に溶けやすく、風味や色を変えてしまいますが、酸化防止効果は高く、安価に酸化防止ができること、また細菌や害虫から守るため、食品では窒素ガスと混合して使用されています。
- アルゴンガスは固体や液体に溶けやすく、酸素を吸収します。風味や色も少しずつ変えてしまいますが、酸化防止効果は非常に高く、米国では古くから窒素ではなく酸化防止の目的で食品包装に使用されています。
【ルンゴプロ抗酸化ガス】


